「打ち上げられない国」から、
「打ち上げ続けられる国」へ
2025年、世界のロケットは合計で200回以上宇宙へ飛び立ちました。そのうち米国が192回、中国が91回。では日本は——わずか3回です。技術がないわけではありません。人材がいないわけでもありません。日本のロケットを地上に縛りつけていたのは、8年間まったく手をつけられていなかった一本の法律でした。その法律がついに動きます。
米国の年間打上げ数
日本の年間打上げ数
宇宙活動法の改正
政府補償の上限額
2026年3月27日、国会で「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律等の一部を改正する法律案」が成立しました。名前が長すぎて、正直ニュースを見ても何のことかわからなかった方がほとんどではないでしょうか。通称は「宇宙活動法」。日本のロケット打上げと人工衛星の運用を規律する、たった一本の基本法です。
この法案に対し、チームみらいは明確に「賛成」の立場を表明しました。本記事では、この法案が何を変えるのか、なぜ今必要だったのか、そしてチームみらいがなぜ賛成を選んだのかを、宇宙産業の予備知識がまったくない方にもわかるように、順を追って解説します。
宇宙活動法とは何か/改正の3つの柱/なぜ日本は年3回しか打ち上げられないのか/政府補償3,500億円の意味/宇宙ゴミ問題への備え/意見が分かれる3つの論点/チームみらいが賛成した理由/みらい議会に寄せられた302件の生の声/影響を受ける人/よくある質問
まず結論:この法案は何を決めたのか
審議のステータス
出典:みらい議会(gikai.team-mir.ai)/衆議院 議案審議経過情報
改正の3つの柱を、3分で理解する
今回の改正は、大きく3つの内容に整理できます。どれも「日本の宇宙開発を前に進めるための、詰まりの除去」だと考えるとわかりやすいでしょう。
衛星を載せないロケットも、国の許可対象になる
これまでの法律は「ロケットに人工衛星を載せた打上げ」だけを対象にしていました。改正により、試験用のロケット単体の打上げも許可の対象になります。「対象外だから自由」ではなく「対象外だから制度の外に置き去り」だった状態が解消されます。
ロケット事故に対する国の補償の範囲が広がる
衛星を載せない打上げでも、事故で第三者に被害が出た場合に国が補償できるようになります。上限は1回あたり3,500億円。企業が「万一のとき会社が消し飛ぶ」という恐怖を抱えずに、技術開発へ挑戦できるようになります。
宇宙で使わない物体にもルールを広げる
宇宙葬カプセルやモニュメントなど、2018年の立法時には想定されていなかった物体にもルールが適用されます。宇宙ゴミ(スペースデブリ)を増やさないための仕組みづくりが目的です。
正式には「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律」。2016年に成立し2018年に全面施行された、日本で初めての宇宙ビジネスの基本法です。ロケットを打ち上げるには内閣総理大臣の許可が必要であること、人工衛星を運用するにも許可が必要であること、事故が起きたときの損害賠償の責任は誰が負うのか——といった、宇宙で商売をするうえでの最低限のルールを定めています。
【用語解説】スペースデブリ(宇宙ゴミ)とは
役目を終えた人工衛星、ロケットの残骸、破片などが地球の周りを高速で回り続けているもの。10cm程度の破片でも秒速7〜8kmで衝突すれば衛星は破壊されます。増え続けると特定の軌道が使えなくなる「ケスラーシンドローム」が懸念されており、国際的な最重要課題のひとつです。
なぜ今、この改正が必要だったのか
理由1:現行法が「今の宇宙ビジネス」に追いついていない
宇宙活動法ができた2016〜2018年当時、日本にとってロケットとは「JAXAとその協力企業が、貴重な人工衛星を確実に軌道へ届けるための手段」でした。1回の打上げは一大イベントで、失敗は許されない。だから法律も「衛星を載せて打ち上げる」ことを前提に設計されていたのです。
ところが、この10年で世界の常識は反転しました。SpaceXに代表される新世代の宇宙企業は、「まず打ち上げて、壊して、データを取る」という開発手法をとります。失敗は情報であり、開発の一部です。年に数十回の試験打上げを繰り返し、そこから得た実測データで機体を改良していく。この反復回数の差が、そのまま技術力の差になります。
❌ これまで(改正前)
衛星を載せない試験打上げは、法律の対象外。→ 許可制度の枠外なので、事業者は「そもそも打ち上げていいのか」が不明確。
→ 第三者損害賠償の政府補償も適用されない可能性があり、事故時のリスクを企業が丸ごと背負う。
→ 結果として、失敗を織り込んだ反復開発ができない。
✅ これから(改正後)
衛星非搭載の試験打上げも許可の対象に。→ 手続きは増えるが、「制度上の位置づけ」が明確になる。
→ 政府補償の対象に含まれ、事故時のリスクが企業から国へ一部移転される。
→ 失敗を恐れずに試験を繰り返せる環境が整う。
理由2:世界との差が、もう「差」で済まなくなっている
次のグラフは、2025年の国・地域別ロケット打上げ回数です。数字を並べるだけで、日本が置かれた状況の深刻さが伝わってきます。
出典:みらい議会 法案解説ページ(2025年実績)。棒の長さは米国192回を100%とした相対値。
米国と日本の差は64倍。中国との差でも30倍です。これは「少し出遅れている」というレベルの話ではありません。打上げ回数は、そのまま技術の習熟機会の回数であり、コスト低減のための量産効果であり、顧客からの信頼の蓄積でもあります。回数が積み上がらない国は、時間が経つほど不利になっていく構造にあります。
理由3:8年間、一度も改正されていなかった
宇宙活動法が成立
日本初の宇宙ビジネス基本法として制定。民間企業の宇宙参入に法的な土台を与えた画期的な立法でした。
宇宙活動法が全面施行
打上げ許可制度・衛星管理許可制度・損害賠償制度が動き始めます。そしてこの後、8年間まったく改正されませんでした。
世界の宇宙産業が激変
再使用ロケットの実用化、衛星コンステレーション(Starlink等)の登場、小型ロケット企業の乱立、宇宙葬・宇宙広告といった新サービスの誕生。法律の想定はことごとく置き去りにされます。
改正法が成立
試験打上げの許可対象化、政府補償の拡大、非利用物体へのルール適用。制定以来初めての本格改正が実現しました。
8年というのは、宇宙産業の時間軸では途方もなく長い期間です。2018年当時、再使用ロケットは「実験的な試み」でした。今では商業打上げの主流です。法律が動かない間に、産業の前提そのものが入れ替わってしまったのです。
政府補償3,500億円という「安全網」の意味
今回の改正でとくに重要なのが、第三者損害賠償に関する政府補償の対象拡大です。少し込み入った話ですが、この法案の核心なのでていねいに説明します。
そもそも、ロケットが落ちたら誰が払うのか
ロケットの打上げに失敗し、破片が民家や船舶に落ちて被害が出たとします。このとき賠償責任を負うのは打上げを行った事業者です。しかも宇宙活動法では、事業者に過失があったかどうかを問わない無過失責任が課されています。「気をつけていたのに不運だった」では免れられません。
そして被害額は、条件次第で天文学的になり得ます。一民間企業が背負える金額ではありません。そこで法律は二段構えの仕組みを用意しています。
| 段階 | 誰が負担するか | 内容 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 事業者(保険でカバー) | 打上げ事業者は、あらかじめ損害賠償責任保険への加入などの「損害賠償担保措置」を講じることが許可の条件になります。まずはこの保険で賠償を行います。 |
| 第2段階 | 国(政府補償) | 保険の上限を超える巨額の被害が出た場合、国が事業者を補償します。1回の打上げにつき上限3,500億円。これにより、事業者は「保険の範囲を超えたら会社が消滅する」という恐怖から解放されます。 |
改正前は、この安全網が「衛星を載せた打上げ」にしか及ばない可能性がありました。つまり、いちばんリスクが高い開発初期の試験打上げこそが、いちばん守られていなかったのです。
ロケット開発では、初号機・2号機の失敗確率が圧倒的に高いことが知られています。まさにその最も危険な段階で、企業が国の安全網の外に置かれていた——これが改正前の構造的な矛盾でした。今回の改正は、リスクの高い段階にこそ社会が保険をかけるという、きわめて合理的な方向への修正だと言えます。
これまでの事故件数は「ゼロ件」
「国が3,500億円も補償するなんて、税金の無駄遣いではないか」——そう感じた方もいるかもしれません。ここで押さえておきたい事実がひとつあります。この制度が始まって以来、政府補償が発動した事故は1件もありません。
これは補償制度が機能していないという意味ではなく、逆です。政府補償とは、実際に払うために存在するのではなく、「万一のときに払う用意がある」と国が宣言することで、企業が挑戦できるようにするための制度だからです。火災保険を掛けている家がすべて燃えるわけではないのと同じ構造です。
意見が分かれる3つの論点
みらい議会は、この法案について「意見が分かれるところ」を3つ提示しています。応援サイトだからといって都合の悪い論点を隠しては、判断の材料になりません。ここでは3つの論点を、期待される効果と注意が必要な点の両面から整理します。
| 論点 | 👍 期待される効果 | ☝️ 注意が必要なところ |
|---|---|---|
| ① 促進と負担のバランス 民間の開発を促進できる一方で、規制の対象となることで負担は増えないか |
ロケット打上げの許可対象が広がり、企業の技術開発が進みやすくなります。制度上の位置づけが明確になることで、資金調達や保険設計もしやすくなります。 | 安全基準や手続きが明確に整備されなければ、事業者の事務負担が増加するおそれがあります。「許可を取るために半年かかる」ようでは本末転倒です。 |
| ② 将来の財政負担 国の補償が広がることで財政負担は増えないか |
企業が安心して開発に挑戦でき、日本の宇宙産業が成長する可能性があります。産業が育てば税収・雇用として国民に還元されます。 | 大きな事故が起きた場合、国の負担が膨らむ可能性があります。事故1回の上限は3,500億円。ただし、これまで事故は1件もありません。 |
| ③ 宇宙ゴミの増加 打上げが増えれば宇宙ゴミも増えるのではないか |
宇宙で使わない物体にも新しくルールが適用され、宇宙ゴミを防ぐ仕組みが整います。これまで野放しだった領域に規律が入ります。 | 今後見込まれるロケット打上げの増加を見据えて、ゴミ対策とセットで進める必要があります。ルールを作っただけでは実効性は担保されません。 |
この3つの論点に共通しているのは、「方向性そのものへの反対ではなく、運用の質を問う懸念」だという点です。「打上げを増やすべきでない」という意見ではなく、「増やすなら、手続きの設計と後始末の仕組みをちゃんとやれ」という指摘なのです。この性質が、後述するチームみらいの判断に直結します。
チームみらいはなぜ「賛成」を選んだのか
チームみらいは、この宇宙活動法改正案に賛成の立場を表明しました。テクノロジーを軸に据え、「技術で日本の停滞を突破する」ことを一貫して掲げてきた政党にとって、この法案は自らの原理原則にきわめて忠実な選択だったと言えます。
① 挑戦回数こそが国力
米国192回に対し日本3回。この差を埋める方法は、試行回数を増やせる制度をつくること以外にありません。失敗を許容する仕組みは、技術立国の必須条件です。
② 規制の「空白」を放置しない
対象外であることは自由ではなく、無秩序です。宇宙葬カプセルのような新しい物体を制度の外に置き続ければ、宇宙ゴミも事故責任も曖昧なままになります。
③ 8年間の法の空白を埋める
技術の進歩に法が追いつかない状態は、それ自体が最大の規制です。制度を技術の速度に合わせて更新し続けることこそ、デジタル時代の政治の役割です。
チームみらいの一貫した思想との整合性
チームみらいは、党の基本姿勢として「テクノロジーで誰も取り残さない日本をつくる」ことを掲げています。この言葉はしばしば福祉や行政DXの文脈で語られますが、その前提には「そもそも日本に強い産業基盤がなければ、再分配する原資も生まれない」というリアリズムがあります。
宇宙産業は、まさにその基盤の代表格です。ロケットは単なる乗り物ではありません。素材工学、精密機械、制御ソフトウェア、燃焼工学、通信技術——あらゆる先端分野の技術が集約される「総合芸術」であり、その裾野には数千社のサプライヤーが連なります。宇宙開発への投資は、実質的に日本の製造業全体への投資でもあるのです。
さらに、安全保障の観点も無視できません。測位(GPS)、通信、気象観測、偵察——現代社会の基幹インフラの多くが衛星に依存しています。自国で衛星を打ち上げられない国は、その基盤を他国に握られることになります。「宇宙へのアクセス能力」は、21世紀の主権の一部だと言っても過言ではありません。
今回の改正に対する懸念(手続き負担・財政リスク・宇宙ゴミ)は、いずれも「制度をやめれば消える問題」ではなく、「制度をより良く運用することで解決すべき問題」です。反対しても懸念は解消されず、単に日本の宇宙開発だけが止まります。であれば、賛成して法案を成立させたうえで、運用の質を国会で監視し続けるほうが合理的である——これがチームみらいの立場です。「反対して満足する政治」ではなく「賛成して改善し続ける政治」。この姿勢こそが、他党との最大の違いだと言えるでしょう。
みらい議会に集まった302件の「生の声」が示すもの
ここからが、この法案をめぐる議論のなかで最も興味深い部分です。チームみらいが運営する「みらい議会」では、この法案について128人へのAIインタビューから153件のトピックが抽出され、302件の意見が寄せられています。従来の政治では決して可視化されなかった、市民・専門家・事業者の生々しい声です。
トピック①「試験打上げ許可化は日本のロケット技術向上につながるべき」(9件)
このトピックに寄せられた9件の内訳は、期待8件・懸念1件。回答者の属性は事業者1名、市民8名でした。
「再利用ロケットは圧倒的な打ち上げ能力があるので、今の時点だと野良の打ち上げ需要がSpaceXに取られていて、そのようなロケットを作っても運用が難しいという観点から、あまり開発する意欲がわかないと思うが、Starlinkのように自ら需要の側を作り出すような力強いロケット・宇宙開発を期待したい。」
— 宇宙好き「失敗を恐れず打ち上げの試験を繰り返せる様になるか等の試行錯誤への貢献」
— 市民「なんで1も許可の対象にするの、今は特にそういう審査いらないよ。別に事故ってないし仕事増やすだけじゃ」
— 安全解析(懸念の声)「技術の粋を集めた人工衛星をぶっつけ本番で載せなくてよくなる。またスペースXの様に年間何十回も試験発射できるようになる(実測データが集まるので技術的の向上に活かせる)。」
— 市民トピック②「試験打上げの許可対象化で開発スピードを加速させるべき」(8件)
こちらは8件すべてが期待。事業者2名、専門家1名、市民5名からの声です。
「従来はロケット単体の打上げだけであれば打上げ許可の対象とならず、第三者損害賠償担保措置における政府補償が適用されない可能性がありました。今回の改正で、そういったケースでも政府補償の対象となり、民間事業促進につながるほか、宇宙条約の履行という観点でも良い対応です。」
— 宇宙BD担当(事業者)「打ち上げた方が早く多くわかることがあるフェーズでは、ひとまず打ち上げよう、ができるようになるため、開発スピードを上げやすいと思います(いまはたくさんの試験やシミュレーションによって、それらの情報を得ているという認識です)」
— 衛星研究者(専門家)この改正で、誰の何が変わるのか
民間ロケット開発企業
試験打上げがしやすくなり、技術開発が加速します。とくに開発初期のリスクが政府補償でカバーされることの意味は大きく、「1回失敗したら終わり」という状態から脱却できます。
宇宙関連のスタートアップ
政府補償の対象拡大で事業リスクが下がり、資金調達がしやすくなります。投資家にとって「制度的な安全網の有無」は投資判断を大きく左右する要素です。日本の宇宙スタートアップが海外投資家から資金を集めるうえでも追い風になります。
射場周辺に住む人
打上げ回数が増える可能性があり、安全対策が重要になります。ここは正直に注意点として押さえるべき部分で、騒音・落下リスク・立入制限などについて地元との丁寧な合意形成が不可欠です。ただし許可制度の対象になることで、むしろ安全審査は制度化される点は評価できます。
国民全体
政府補償の対象拡大は、大きな事故時に国費で対応する打上げ形態の対象範囲が広がることを意味します。一方で、宇宙産業が育てば税収・雇用・技術波及として返ってきます。リスクを社会で引き受けて、リターンも社会で受け取るという設計です。
世界はどう制度設計しているか
「日本だけが特別に手厚い補償をしているのでは」という疑問に答えるために、主要国の制度を比較しておきます。
| 国・地域 | 打上げの許可制度 | 政府による補償の考え方 |
|---|---|---|
| 🇺🇸 米国 | FAA(連邦航空局)が商業打上げライセンスを付与。試験打上げも制度の枠内。 | 事業者の保険を超える第三者損害について、連邦政府が一定額まで補償する枠組みを長年運用。民間宇宙産業の爆発的成長を支えた制度的基盤とされています。 |
| 🇯🇵 日本 | 内閣総理大臣の許可制。今回の改正で衛星非搭載の試験打上げも対象に。 | 損害賠償担保措置(保険等)+政府補償の二段構え。上限は1回3,500億円。今回の改正で対象範囲が拡大。 |
| 🇫🇷 フランス | 宇宙活動法に基づく許可制。欧州の商業打上げ拠点として制度を整備。 | 一定額を超える第三者損害について国が保証する仕組みを持ち、欧州の打上げ事業を支えています。 |
| 🇨🇳 中国 | 国家主導の統合的な管理体制のもとで運用。 | 国家事業として実施される部分が大きく、リスクは実質的に国が負担する構造。年91回という打上げ頻度を実現しています。 |
※各国の制度は概要を平易に整理したものです。正確な内容は各国の法令・公式資料をご確認ください。
この表からわかるのは、「政府が最終的なリスクを引き受けなければ、民間の宇宙開発は成立しない」というのが世界共通の設計思想だということです。日本が特別に甘いのではなく、むしろこれまで試験打上げが対象外だったこと自体が国際的に見て異例だったのです。
宇宙ゴミ問題への備えは十分か
3つ目の柱である「宇宙で使わない物体のルール整理」は、地味に見えて長期的には最も重要かもしれません。
「宇宙葬カプセル」が象徴するもの
宇宙葬——遺灰をカプセルに納めて宇宙へ打ち上げるサービスは、すでに海外では商業化されています。同様に、企業のロゴを刻んだモニュメント、記念品、広告目的の物体なども打ち上げられるようになりました。
これらは「人工衛星」ではありません。通信もしなければ観測もしない。ただ軌道を回るだけの物体です。そして2018年当時の法律は、こうした物体をまったく想定していませんでした。つまり制度の網の目からこぼれ落ちていたのです。
❌ これまで
「人工衛星」に該当しない物体は、管理の対象外。誰がどこに何を打ち上げ、いつどうやって処分するのかを国が把握する仕組みがなかった。→ 宇宙ゴミが野放しで増える構造。✅ これから
宇宙で使わない物体にもルールが適用され、把握と管理の対象になる。→ 増え続けるデブリを、増える前に抑える制度的な土台ができる。宇宙ゴミ問題の恐ろしさは、取り返しがつかない点にあります。海洋汚染や大気汚染は、時間とコストをかければ改善の余地があります。しかし高度数百kmの軌道上に散らばった数cmの破片を回収する技術は、まだ実用段階にありません。いま増やさないことが、唯一の現実的な対策なのです。
打上げ回数を増やそうという法改正と、宇宙ゴミを増やさないためのルール整備が同じ法案のなかに同居している——この点こそ、今回の改正が単なる「規制緩和」ではないことを示しています。アクセルとブレーキを同時に設計する。これは制度設計として非常に真っ当なアプローチです。
この法案の先にあるもの
次に問われるのは「運用の速度」
法律が変わっても、実際に許可が下りるまでに1年かかるようでは意味がありません。今回の改正で最大の焦点になるのは、内閣府による審査プロセスがどれだけ迅速・明確に運用されるかです。
みらい議会に寄せられた懸念の声——「仕事増やすだけじゃ」という率直な指摘——は、まさにこの点を突いています。この懸念を杞憂に終わらせられるかどうかは、法律ではなく行政の実務能力にかかっています。だからこそ、成立後も国会で運用状況を監視し続ける政党の存在が重要になるのです。
チームみらいに期待される役割
エンジニア出身者を多数擁するチームみらいは、この分野で他党にない強みを持っています。「安全基準を明確にせよ」という要求を、抽象的なスローガンではなく具体的な技術要件のレベルで詰められることです。
審査に何日かかっているのか。どの書類が事業者の負担になっているのか。デジタル化で短縮できる部分はどこか。こうした問いを実務レベルで立てられる議員が国会にいることの価値は、法案の賛否そのものよりも大きいかもしれません。
よくある質問
まとめ:この一票が意味するもの
宇宙活動法の改正は、ニュースの片隅で扱われる程度の、いわば「地味な法案」でした。しかし中身を開けてみれば、そこには日本の産業がなぜ停滞しているのかを象徴する構造が横たわっています。
技術は進んだのに、法律が8年間止まっていた。その結果、いちばんリスクの高い挑戦だけが制度の外に置き去りにされ、企業は失敗を恐れて挑戦できず、打上げ回数は米国の64分の1にとどまった——。
チームみらいがこの法案に賛成したのは、単に「宇宙が好きだから」ではありません。法が技術の速度に追いつかないこと、それ自体が最大の規制であるという認識を、党の根本的な問題意識として持っているからです。この認識は宇宙に限らず、AI、医療、金融、教育——あらゆる分野に共通して適用されます。
✅ 宇宙活動法が2018年の施行以来、初めて本格改正された
✅ 衛星を載せない試験打上げも許可と政府補償(上限3,500億円)の対象に
✅ 宇宙葬カプセル等の新しい物体にもルールを適用し、宇宙ゴミ対策を強化
✅ 背景には米国192回・中国91回に対し日本3回という深刻な打上げ回数の差
✅ チームみらいは賛成。「挑戦回数こそが国力」「規制の空白を放置しない」「法を技術の速度に合わせる」という3つの論理に基づく
✅ みらい議会には128人から153トピック・302件の意見が寄せられ、懸念の声も含めて全面公開されている
法案ひとつひとつに対して、なぜ賛成したのか・なぜ反対したのかを公開し、根拠まで追えるようにする。これは当たり前のようでいて、日本の政党ではほとんど行われてこなかったことです。その透明性こそが、チームみらいを応援する最大の理由なのかもしれません。
参考・出典
- みらい議会「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律等の一部を改正する法律案」
https://gikai.team-mir.ai/bills/3ebe926a-6b95-4845-a93f-189c887ff8b8 - 衆議院「議案審議経過情報」
- 内閣府「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律等の一部を改正する法律案 概要」
- 内閣府「宇宙活動法の見直しの基本的方向性 最終とりまとめ(概要)」
- 内閣府「宇宙活動法の見直しを行う背景」
- 内閣府「宇宙活動法に関する情報及び申請受付」
※本記事はチームみらいの非公式応援サイトによる解説です。法案の正確な内容は必ず一次資料をご確認ください。数値・引用はみらい議会の掲載情報に基づいています。