「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」——日本の社会保障・税制には、働くことへの「ペナルティ」が随所に設計されています。この結果、「もっと働きたいのに損になるから働けない」という人が大量に生まれています。

さらに深刻なのは、若い世代が払い続ける社会保険料の増大です。20代・30代の手取りが減り続け、子育てや結婚を諦める人が増え、少子化がさらに加速するという悪循環。チームみらいはこの構造を「2035年を目処に抜本的に再設計する」という大胆な社会保障改革を掲げています。

この記事でわかること

日本の「壁」問題とは何か / 社会保険料増大の実態 / 世代間不公平の現実 / 給付付き税額控除とは / チームみらいの社会保障改革の全貌 / 2035年抜本改革のロードマップ / 各政党との比較

「壁」だらけの日本——働くほど損をする制度の罠

日本の税・社会保障制度には、特定の収入ラインを超えると急に負担が増える「壁」が複数存在します。これらの壁は、非正規雇用者・パートタイム労働者(特に女性)の就労意欲を著しく阻害しています。

日本に存在する「壁」一覧
103万円
所得税の壁:給与収入103万円を超えると所得税の課税が始まる。配偶者控除(配偶者が配偶者特別控除に移行)にも関わる。
106万円
社会保険の壁(大企業等):特定要件(週20時間以上・月8.8万円以上等)を満たすと社会保険加入義務が生じる。手取りが急減する。
130万円
扶養から外れる壁:収入が130万円を超えると、配偶者の扶養から外れ自分で社会保険料を払う必要がある。一定の収入増では損になるケースがある。
150万円
配偶者特別控除の縮小壁:収入150万円超で配偶者特別控除が段階的に減少し始める。201万円超で消滅。

これらの壁が複雑に絡み合う結果、多くのパートタイム労働者が「働きすぎないよう調整」することを余儀なくされています。2023年の試算では、「壁」を意識して労働時間を抑制しているパート・アルバイトは約130万人に上るという推計があります。

社会保険料の重さ——現役世代の「見えない増税」

多くの人が「消費税は上がった」と感じていますが、実はそれ以上に大きな負担増が「社会保険料」の増加として進んでいます。

社会保険料率の推移(会社員・事業主合計)
1990年
約21%
2000年
約24%
2010年
約25%
約25%
2024年
約30%

出典:厚生労働省「社会保険料率の推移」より編集部作成(健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険等の合計の概算値)

1990年から2024年にかけて、社会保険料の総負担率は約9ポイント増加しました。平均的なサラリーマン(年収500万円)の場合、社会保険料の増加分だけで年間数十万円の負担増になっている計算です。しかも、この増加は今後も続く見通しです。

チームみらいの核心的な約束

チームみらいの社会保険料に関するコミットメント

「社会保険料総額の伸びを国民所得の伸び以下に抑える」
これは「社会保険料を減らす」ではなく「これ以上増やさない」という約束ですが、現在の軌跡のままでは毎年増え続ける社会保険料に歯止めをかける、重要なコミットメントです。

世代間の不公平——若者が損をする構造を直視する

「年金は払った分もらえる」——これは過去の話です。現在の年金制度は、世代によって「払う額」と「もらえる額」のバランスが大きく異なります。

世代別 年金の「損益比率」(概算)
生涯受け取り(推計)
生涯支払い(推計)
1940年代生まれ
約4,700万円
約1,300万円
1960年代生まれ
約4,200万円
約2,500万円
1980年代生まれ
約3,800万円
約3,200万円
2000年代生まれ
約3,200万円
約4,000万円超

出典:内閣府・厚生労働省の研究報告等をもとに編集部が概算。モデルによって大きく異なります。

若い世代ほど「払う額が多く、もらえる額が少ない」傾向があります。これは年金制度の構造的な問題であり、現役世代が多くの高齢者の年金を支える「賦課方式」の限界が少子化によって露わになっています。

給付付き税額控除——社会保障のシンプル化の切り札

チームみらいが提案する社会保障改革の核心が、「給付付き税額控除(EITC)」です。これは現在の複雑な社会保障・税控除制度を一本化する考え方です。

給付付き税額控除とは何か

給付付き税額控除(Earned Income Tax Credit)は、所得が少ない人ほど税金の控除(または現金給付)が大きくなる仕組みです。アメリカ・イギリス・カナダなど多くの先進国で採用されています。

❌ 現在の制度の問題

  • 「壁」があるため特定の収入ラインで急激に手取りが変化
  • 税控除・社会保険料・給付が別々に設計されており複雑
  • 低所得者でも税は払わなければならない(課税最低限)
  • 「なぜこんな仕組みなのか誰もわからない」状態
  • 制度が複雑なため、受給できる給付を把握できない人が多い

✅ 給付付き税額控除の仕組み

  • 「壁」がなくなり、収入が増えるほど手取りが増える
  • 低所得者には税の控除を超えて現金を給付
  • 中所得者は税額控除で実質負担が軽減される
  • 制度が一本化されてシンプルになる
  • マイナンバーと組み合わせて自動的に最適な控除・給付が適用される

海外の成功事例

🌍 給付付き税額控除の成功事例
  • アメリカのEITC(勤労所得税額控除):年間約2,500万人に適用。貧困削減効果は他の社会保障制度より高いと評価されている。就労インセンティブも維持できる設計が特徴。
  • イギリスのワーキングタックスクレジット:低所得の就労者への税額控除。就労と社会保障のつながりを強化した。2003年に大規模改革。
  • カナダのCCB(カナダ子育て給付):子育て世帯への給付付き税額控除。所得に応じて自動的に給付額が決まる仕組みで管理コストも低い。

年金制度の具体的な改革案

チームみらいの年金改革は、短期・中期・長期の3つのフェーズで設計されています。

短期改革:緊急対応(2025〜2026年)

🚨 短期で実施すべき対応

  • マクロ経済スライドの見直し:物価が上がっても年金が増えない「実質的年金減額」の仕組みを見直し、現在受給している高齢者の生活を守る
  • 高額療養費制度の堅持:自己負担上限の拙速な引き上げに反対。医療費負担増による高齢者の受診抑制を防ぐ
  • 基礎年金の最低保障機能の強化:低年金の高齢者への補足給付を拡充

中期改革:壁の撤廃(2027〜2030年)

📋 中期で進める壁の撤廃

  • 106万円・130万円の壁を撤廃:被用者保険の適用拡大を進め、短時間労働者も社会保険に加入できる環境を整備(受け取る権利も拡大)
  • 配偶者控除の見直し:配偶者控除を廃止または抜本改革し、「働くほど得をする」制度設計に転換
  • 老齢基礎年金の財源の一部税方式化:国民年金の基礎年金部分に対して、税を財源とする「最低保障年金」の要素を導入する検討

長期改革:抜本設計(2031〜2035年)

🔮 2035年目標:社会保障の抜本改革完了

  • 給付付き税額控除への一本化:現在の複雑な控除・給付体系を整理し、所得連動型の給付付き税額控除に移行
  • 「壁のない」社会保障制度の完成:どの収入水準でも働くほど手取りが増える制度設計
  • AGI(汎用人工知能)出現シナリオへの対応準備:AI自動化による雇用変化に備えたユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)等の広汎なセーフティネットの検討

医療費改革——自己負担の見直しと医療DX

チームみらいの社会保障改革は年金だけではありません。医療費負担にも大胆な提案があります。

医療自己負担割合の統一化

現在の日本の医療自己負担割合は、年齢・所得によって異なります(3割・2割・1割)。チームみらいは「原則3割への統一化を目指す」と明記しています。

💊 医療自己負担3割統一化の意味
  • なぜ3割統一を提案するのか:現在、高齢者(70〜74歳)は2割、75歳以上は1割(一般)が多く、現役世代より低い負担。これを3割に統一することで、世代間の公平性を高める
  • 低所得者への配慮:収入が少ない高齢者には、高額療養費制度や補足給付で保護する設計
  • 医療財政の持続可能性:高齢化で急増する医療費を持続可能にするための必要な改革
  • 「拙速な引き上げには反対」:チームみらいは段階的・丁寧な移行を前提とし、「突然3割にして困る人を出さない」配慮を明記

医療のアウトカム評価革命

チームみらいが特にユニークな提案をしているのが、「医療のアウトカム(成果)評価」です。

現在の診療報酬は「何をしたか(行為)」に支払われます。しかしこれでは、「治療結果がよかった」医師と「あまり良くなかった」医師が同じ報酬になります。チームみらいは、治療成果に応じた診療報酬を検討しています。

  • 糖尿病患者の血糖値コントロールが改善 → 報酬加算
  • 高血圧患者の血圧管理が良好 → 報酬加算
  • AIを活用した公平・迅速な評価体制を整備

各政党の年金・社会保障政策比較

政策 自民党 立憲民主 維新 チームみらい
「壁」の撤廃 106万円の壁撤廃検討 撤廃を推進 撤廃を推進 すべての壁を撤廃・2035年抜本改革
給付付き税額控除 慎重 積極的 検討中 2035年目標で導入
社会保険料の増大抑制 方針なし 負担増抑制 効率化で対応 国民所得の伸び以下に抑えるという数値目標
医療自己負担 現状維持基調 負担増反対 合理化重視 3割統一(丁寧な移行前提)
AGI後の社会保障 議論なし 議論なし 議論なし UBI等の広汎なセーフティネット検討

AIと社会保障の未来——AGI時代のセーフティネット

チームみらいの社会保障政策で特に先進的なのが、「AGI(汎用人工知能)出現後の社会への備え」を明記していることです。

AGIが実現した世界では、多くの仕事がAIに置き換えられる可能性があります。そのとき、「仕事ができないから年金・社会保障も受けられない」という現在の設計では社会が機能しなくなります。

🤖 AGI時代の社会保障シナリオ
  • ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI):すべての国民に無条件で基礎的な所得を保障する制度。AIによる富の増大を社会全体に分配する仕組みとして議論されている。
  • ロボット税・AI税:人間の代わりに働くAI・ロボットへの課税で、社会保障の財源を確保する構想。
  • 労働時間の大幅短縮:AIが多くの作業を担うことで、人間はより少ない労働時間で生活できる社会の実現。

チームみらいはこれらを「準備を始めるべき課題」として明示的にマニフェストに記載。他の政党が議論すら避けるテーマに正面から向き合っています。

まとめ——「壁をなくし、手取りを増やす」社会保障改革

チームみらいの社会保障改革は、「弱者を守る」という福祉の観点と、「経済効率を高める」という成長の観点が両立しています。

✨ チームみらい 社会保障改革のまとめ
  1. すべての「壁」を撤廃:103・106・130万円の壁をなくし、働くほど得をする制度へ
  2. 社会保険料の増大を国民所得以下に抑制:現役世代の手取りを守る
  3. 給付付き税額控除の導入:2035年目標で複雑な制度を一本化
  4. 世代間公平の実現:若者が不当に損をする構造を改革
  5. AGI時代の備え:UBI等の広汎なセーフティネットを事前に設計

社会保障改革は「誰かが損をする」ように見えますが、実際には「みんながよりシンプルで公平な制度の恩恵を受ける」ためのものです。複雑な制度の罠から解放され、誰もが安心して働き・育て・老いられる社会——それがチームみらいの目指す未来です。

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免責事項

本記事はチームみらいの公式政策ページおよび公開資料に基づいて作成した非公式の解説記事です。社会保障制度は複雑で個人の状況によって影響が異なります。最新・正確な情報は公式サイトや専門家にご確認ください。本サイトはチームみらいの非公式応援サイトです。