あなたの町のお金は、
どこから来ているのか。
ゴミ収集、図書館、道路の補修、こども園、水道——これらを支えるお金の多くは、市町村が自分で集めた税金ではありません。国から配られる地方交付税です。その総額が20.2兆円に増えます。8年連続の増額です。
しかしその裏側には、約68兆円という特例的な借金が積み上がっています。今回の改正はそれを約61兆円まで減らす計画ですが——「国の支援に頼る構造は、あまり変わりません。」
地方交付税(+1.2兆円)
地方の一般財源総額
特例的な借金の総額
地域産業の新基金
2026年2月20日、「地方交付税法等の一部を改正する法律案」が成立しました。地味な名前ですが、全国すべての自治体の予算を左右する法案です。
チームみらいはこの法案に「賛成」の立場を表明しました。
この法案は毎年のように改正される、いわば「地方財政の年次決算」のような法律です。しかし今年は特別な事情があります。2026年4月から自動車に関する税金の一部がなくなり、地方の収入が約6,500億円減るのです。
地方交付税とは何か/なぜ20.2兆円に増えたのか/一般財源67.5兆円という総枠の意味/臨時財政対策債という「見えない借金」/自動車税がなくなる分を国が全額補う仕組み/地域産業の新基金4,000億円/特例的な借金68兆円の正体/意見が分かれる3つの論点/チームみらいが賛成した理由/よくある質問
まず結論:この法案は何を決めたのか
審議のステータス
出典:みらい議会(gikai.team-mir.ai)/総務省「令和8年度地方財政対策のポイント及び概要」/衆議院 議案審議経過情報
そもそも地方交付税とは何か
国が集めた税金の一部を、財源が足りない自治体に配るお金です。使い道は自治体が自由に決められます(=一般財源)。
なぜこんな仕組みがあるのか。理由は「税収の地域差があまりに大きいから」です。
企業の本社や高所得者が集中する都市部では、住民税・法人住民税が潤沢に入ります。一方、人口が少なく高齢化が進んだ地域では、税収はごくわずかです。しかし、住民に必要なサービス——ゴミ収集、消防、水道、義務教育、介護——は、どこに住んでいても必要です。
もし自前の税収だけで賄うことにすれば、財政力の弱い自治体では、行政サービスが成立しません。だから国が調整するのです。
国が税を集める
所得税・法人税・消費税などの一定割合が、地方交付税の原資になります。
必要額と税収の差を計算
自治体ごとに「必要なお金」と「自分で集められるお金」を算定し、その差を埋めます。
自治体に配る
使い道は自治体が自由に決められます。これが「一般財源」です。
※実際の算定はより複雑ですが、基本の考え方はこの図のとおりです。
20.2兆円へ——8年連続の増額
出典:みらい議会 法案解説ページ/総務省「令和8年度地方財政対策のポイント」。バーの長さは67.5兆円を基準とした相対比です。
みらい議会が挙げる理由は明快です。「物価の上昇や人件費の引上げで、地方で必要なお金が増えています。」
自治体の支出は、物価に直撃されます。
・公共施設の光熱費——学校、体育館、庁舎、水道施設の電気代
・工事費——道路の補修、橋の点検、施設の改修。資材価格と人件費の上昇が直接効きます
・職員の給与——人事院勧告に準じた引き上げが続いています
・委託費——ゴミ収集、給食、施設管理の多くは民間委託。委託先の人件費上昇が反映されます
そして自治体には、企業のように「値上げして吸収する」という選択肢がありません。住民サービスの料金を物価に合わせて上げ続けることは、政治的にも制度的にも困難です。
だから、財源の増額なしにはサービスの縮小が起きる——それが増額の理由です。
「一般財源67.5兆円」という数字の意味
地方交付税だけでなく、地方税、地方譲与税、臨時財政対策債などを合わせた「自治体が自由に使えるお金の総額」です。
なぜこの総額が重要なのか。
それは、「自治体が自由に使えるお金」こそが、地方自治の実質だからです。
国から配られるお金には2種類あります。
・使い道が決まっているお金(補助金・国庫支出金)——「この道路にだけ使え」「この事業にだけ使え」
・使い道が自由なお金(一般財源)——自治体が自分の判断で配分できる
前者ばかりが増えると、自治体は国のメニューから選ぶだけの存在になります。地域の実情に応じた独自の判断ができなくなる。
だから「一般財源総額67.5兆円を確保」という約束は、金額そのもの以上に、「自治体の裁量を守る」という意味を持ちます。
この法律の4つのポイント
地方の財源を支えるお金を増やします
地方交付税は、前年度より1.2兆円増えて20.2兆円になります。8年連続の増額です。地方が使えるお金の総額も67.5兆円(一般財源)を確保します。
過去の借金を減らします
地方の財源不足を補うための借入れ(臨時財政対策債)の新しい返済の仕組みを作り、残高を約42兆円から約39兆円に減らします。
自動車に関する税金がなくなる分を国が補います
2026年4月から自動車にかかる税金の一部がなくなり、地方の収入が約6,500億円減ります。その減った分を国が全額補います。
地域の産業と暮らしを応援します
地域の産業を盛り上げる新しい基金(4,000億円)を作ります。あわせて、いわゆる高校無償化にかかる費用や子育て支援の強化、防災対策の延長なども進めます。
臨時財政対策債——「見えない借金」の正体
この法案を理解するうえで、最も重要な用語がこれです。
地方交付税として配るべきお金が国に足りないとき、「その分は自治体が自分で借金してください。返済は将来の地方交付税で面倒を見ますから」という仕組みです。
つまり——本来は国が現金で配るべきお金を、自治体名義の借金に置き換えたものです。
【なぜ「見えない借金」なのか】
この借金は、自治体の借金として帳簿に載ります。しかし返済のためのお金は、将来の地方交付税として国が手当てする建前になっています。
・自治体から見れば「国が返してくれるはずの借金」
・国から見れば「将来の交付税で払う約束」
どちらの帳簿でも、責任の所在が曖昧になりやすい構造です。そして、これが積み上がった結果——
(現在)
(改正後)
特例的な借金
(現在)
みらい議会の記述:「地方の財源不足を補うために、国と地方で積み上がった特例的な借金は合わせて約68兆円にのぼり、地方の財政に大きな負担を与えています。」
これは、地方交付税の年間総額(20.2兆円)の3年分を超える規模です。
この借金は、災害復旧のためでも、新しいインフラを作るためでもありません。「毎年の運営費が足りなかったから」積み上がったものです。
家計にたとえるなら、家を買うためのローンではなく、毎月の食費と光熱費が足りなくてカードで払い続けた結果の残高です。資産は何も残っていません。
今回の改正で、これを約61兆円まで減らす見通しが立ちました。7兆円の削減です。これは前進です。
しかし、それでも61兆円が残ります。
自動車の税金が消えて、6,500億円が飛ぶ
今回の改正で最も差し迫った課題がこれです。
⚠️ 2026年4月から起きること
自動車に関する税金の一部がなくなります。→ 地方の収入が約6,500億円減少
自動車関係の税は、都道府県・市町村の重要な自主財源でした。とくに道路の維持管理と結びついてきた歴史があります。
何もしなければ、その分だけ自治体のサービスが削られます。
✅ 今回の対応
「その減った分を国が全額補います。」→ 自治体の収入は実質的に維持
→ 急激な財源不足を回避
しかし——
この措置は「当分の間」とされた一時的な対応です。
「将来にわたって安定した財源を確保する仕組みは、まだ決まっていません。」
背景には、自動車を取り巻く環境の変化があります。
・電動化——ガソリンを前提とした課税の根拠が揺らいでいます
・保有から利用へ——カーシェアやサブスクの拡大で「所有に課税する」設計が実態と合わなくなってきました
・税負担の重さ——自動車には取得・保有・走行のそれぞれで税がかかり、「二重課税ではないか」という批判が長年ありました
つまり、この減税自体には合理性があります。問題は、それによって空いた地方の財源の穴を、どう恒久的に埋めるかが決まっていないことです。
「当分の間」という言葉は、行政用語としては要注意です。10年、20年と続くこともあれば、財政が厳しくなった年に突然見直されることもあります。自治体は、いつ終わるかわからない支援の上で予算を組むことになります。
地域産業の新基金4,000億円
今回、地域の産業を盛り上げる新しい基金(4,000億円)が作られます。
なぜ「基金」なのか。通常の予算は単年度主義で、その年度に使い切る必要があります。しかし産業振興は、1年では成果が出ません。
基金にしておけば、複数年度にまたがって計画的に使えます。企業誘致、人材育成、設備投資への支援——時間のかかる取り組みに向いた手法です。
あわせて、以下も進められます。
・いわゆる高校無償化にかかる費用——就学支援金の所得制限撤廃に伴い、都道府県が費用の4分の1を負担することになったため、その裏づけが必要です
・子育て支援の強化
・防災対策の延長
この法案が、単なる「お金の配り方の話」ではなく、教育・子育て・防災という具体的な政策の財源を支えるものであることがわかります。
意見が分かれる3つの論点
みらい議会は、この法案について3つの論点を挙げています。いずれも「評価できる点」と「しかし」がセットになっているのが特徴です。
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| ① 借金を減らしても国の支援に頼る構造は変わらないのではないか | 借金を計画的に減らすことで将来の負担を軽くできます。特例的な借金の総額は、約68兆円から約61兆円に減る見通しです。しかし地方が自分たちで集められる税収は限りがあり、国の支援に頼る構造はあまり変わりません。 |
| ② 自動車に関する税金がなくなった分はいつまで国が補うのか | 自動車に関する税金がなくなっても、国がその分を補うことで、地方の財源が急に不足するのを防げます。ただし、この措置は「当分の間」とされている一時的な対応です。将来にわたって安定した財源を確保する仕組みは、まだ決まっていません。 |
| ③ 地域の産業を盛り上げる新しい基金は効果的に活用されるのか | 地域の産業を盛り上げるために新しい基金4,000億円を作る予定です。しかし新しい基金の具体的な使い方や使った結果の評価方法などについてはまだ示されていません。 |
出典:みらい議会「意見が分かれるところ」の記述を原文どおり整理。
論点①:構造は、変わらない
「地方が自分たちで集められる税収は限りがあり、国の支援に頼る構造はあまり変わりません。」
この一文は、地方財政の核心を突いています。
借金を7兆円減らすことは、確かに前進です。しかしそれは「過去のツケを整理する」作業であって、「毎年、国からの配分がなければ立ち行かない」という構造そのものには手をつけていません。
なぜ構造が変わらないのか。
・人口減少——住民税を払う人が減り続けています
・産業の集中——法人が都市部に集まり、地方の法人住民税は伸びません
・高齢化——税を払う側が減り、サービスを受ける側が増えます
つまり、地方の自主財源が伸びる要素が、構造的に存在しないのです。この状況で「自分で稼げ」と言うだけでは、行政サービスが崩壊します。
だからこそ、地方交付税という仕組み自体は必要です。問題は、その配り方と、地方が自ら財源を作れる余地をどう広げるかにあります。
論点③:4,000億円の使い道は、まだ決まっていない
これは、政策評価の観点から見過ごせない指摘です。
基金には、構造的な弱点があります。
・単年度の予算審議を離れる——いったん積んだ基金は、毎年の国会審議の対象になりにくい
・使い残しが見えにくい——「積んだが使われていない基金」が問題になった前例が複数あります
・効果測定が後回しになる——「産業を盛り上げる」は、成果指標を定めにくい目的です
4,000億円は、地方交付税の増額分1.2兆円の3分の1に相当する規模です。この規模の資金について、使途と評価方法が決まる前に設置が決まる——この順序は、本来は逆であるべきものです。
「何にいくら使い、どう成果を測るのか」を後から示させること。ここが、賛成した側の責任になります。
チームみらいはなぜ「賛成」を選んだのか
チームみらいは、この地方交付税法等改正案に賛成の立場を表明しました。この法案が成立しなければ、2026年4月から自治体の予算が組めなくなります。物価上昇下でのサービス維持、自動車関係税の減収補填、そして特例的な借金を7兆円減らす計画——いずれも、否定する理由が見当たりません。同時に、基金の使途と評価方法、そして「当分の間」の期限は、賛成後に追及すべき課題として残ります。
① 自治体の予算に穴を開けない
自動車関係税の減収6,500億円を放置すれば、住民サービスが直接削られます。全額補填は当然の措置です。
② 借金を7兆円減らす計画
特例的な借金を68兆円→61兆円へ。返済の仕組みを作った点は、先送りをやめる方向として評価できます。
③ 一般財源=自治体の裁量を守る
使い道の決まった補助金ではなく、自由に使える一般財源67.5兆円を確保。地方が自ら判断できる余地を守る設計です。
「賛成」は「現状肯定」ではない
チームみらいが掲げてきたのは、データに基づく行政の効率化と、デジタル技術による自治体業務の抜本的な見直しです。その視点から見ると、この法案は「今の仕組みを、今年も回すための法案」にすぎません。
この法案に賛成したうえで、目指すべき方向は明確です。
① 自治体業務の標準化とデジタル化
全国1,700以上の自治体が、それぞれ独自のシステムを持ち、独自の様式で業務を回しています。同じ住民票の発行に、自治体ごとに違うシステムが使われている——これは巨大な無駄です。標準化が進めば、必要な財源そのものが減ります。
② 「必要額」の算定を透明にする
地方交付税は「必要な額」と「自前の税収」の差を埋める仕組みですが、その「必要な額」の算定は極めて複雑で、外部から検証しにくい構造です。データを開けば、配分の妥当性を検証できます。
③ 基金の効果をデータで測る
4,000億円の産業基金について、投じた額と、雇用・売上・企業立地といった成果を紐づけて公開すること。これができれば、次の政策判断が変わります。
賛成は、これらを求めない理由にはなりません。
この改正で、誰の何が変わるのか
都道府県や市町村
国からもらえるお金の額や借金のルールが変わります。地方交付税は1.2兆円増えて20.2兆円へ。臨時財政対策債には新しい返済の仕組みが導入され、残高が約42兆円から約39兆円に減ります。
地域に住む私たち
公共サービスの形が変わる可能性があります。財源が確保されることで、物価上昇下でもサービス水準が維持されやすくなります。一方、地域産業の新基金の使い道次第で、地域ごとの差も生まれます。
自動車を持つ人
2026年4月から自動車にかかる税金の一部がなくなります。負担は軽くなりますが、その分(約6,500億円)は国が地方に補填する形になります。
将来の納税者
特例的な借金は約61兆円が残ります。7兆円は削減される見通しですが、残りは将来世代が負担することになります。構造そのものは変わっていません。
よくある質問
この仕組みがあるのは、税収の地域差があまりに大きいからです。企業や高所得者が集中する都市部と、人口が少ない地域では、自前で集められる税収が全く違います。しかしゴミ収集、消防、水道、義務教育といったサービスは、どこに住んでいても必要です。その差を国が調整しているのが地方交付税です。
自治体の支出は物価に直撃されます。公共施設の光熱費、道路や橋の工事費、職員の給与、ゴミ収集や給食などの委託費——いずれも上昇しています。
自治体には企業のように「値上げして吸収する」選択肢がありません。財源の増額なしにはサービスの縮小が起きるため、増額が必要になりました。今回で8年連続の増額です。
つまり、本来は国が現金で配るべきお金を、自治体名義の借金に置き換えたものです。
自治体から見れば「国が返してくれるはずの借金」、国から見れば「将来の交付税で払う約束」——どちらの帳簿でも責任の所在が曖昧になりやすい構造です。今回の改正で、残高が約42兆円から約39兆円に減ります。
この借金は、災害復旧のためでも新しいインフラのためでもありません。「毎年の運営費が足りなかったから」積み上がったものです。家計にたとえるなら、家のローンではなく、食費と光熱費が足りずにカードで払い続けた結果の残高です。
今回の改正で約61兆円まで減る見通しです。7兆円の削減は前進ですが、それでも61兆円が残ります。
問題は期限です。「この措置は『当分の間』とされている一時的な対応です。将来にわたって安定した財源を確保する仕組みは、まだ決まっていません。」
「当分の間」は行政用語としては要注意です。10年続くこともあれば、財政が厳しくなった年に見直されることもあります。自治体は、いつ終わるかわからない支援の上で予算を組むことになります。
基金という手法自体には合理性があります。産業振興は1年では成果が出ないため、複数年度にまたがって計画的に使える基金が向いています。
一方で基金には弱点もあります。単年度の予算審議を離れるためチェックが働きにくく、使い残しが見えにくいのです。使途と評価方法を後から示させることが重要です。
国から配られるお金には、使い道が決まっているお金(補助金)と自由に使えるお金(一般財源)があります。前者ばかりが増えると、自治体は国のメニューから選ぶだけの存在になり、地域の実情に応じた独自の判断ができなくなります。
「一般財源総額67.5兆円を確保」という約束は、金額以上に「自治体の裁量を守る」という意味を持ちます。
借金を7兆円減らすのは「過去のツケを整理する」作業であり、「毎年、国からの配分がなければ立ち行かない」という構造そのものには手をつけていません。
人口減少で住民税を払う人が減り、法人が都市部に集中し、高齢化でサービスを受ける側が増える——地方の自主財源が伸びる要素が構造的に存在しないのが根本問題です。自治体業務の標準化・デジタル化による「必要額そのものの圧縮」が、次の課題になります。
まとめ:今年を回す法案。構造を変える法案ではない
地方交付税法の改正は、毎年行われます。地味で、報道もされにくい。しかしこの法案が通らなければ、4月から全国の自治体が予算を組めなくなります。
今年の改正には、大きな数字が並びました。20.2兆円への増額、8年連続。一般財源67.5兆円の確保。臨時財政対策債を42兆円から39兆円へ。自動車関係税の減収6,500億円を国が全額補填。地域産業の新基金4,000億円。
✅ 地方交付税は前年度より1.2兆円増えて20.2兆円。8年連続の増額
✅ 地方が自由に使えるお金の総額(一般財源)は67.5兆円を確保
✅ 臨時財政対策債に新しい返済の仕組みを導入し、残高を約42兆円 → 約39兆円へ
✅ 2026年4月から自動車関係税の一部が廃止。減収約6,500億円は国が全額補填
✅ ただしこの補填は「当分の間」という一時的措置。恒久的な財源の仕組みは未定
✅ 地域産業の新基金4,000億円を創設。ただし使い道と評価方法は未定
✅ 高校無償化の費用、子育て支援の強化、防災対策の延長も進める
✅ 国と地方の特例的な借金は約68兆円 → 約61兆円に減る見通し
✅ しかし「国の支援に頼る構造はあまり変わりません」——これが最大の論点
✅ チームみらいは賛成。「自治体の予算に穴を開けない」「借金を7兆円減らす」「一般財源=裁量を守る」という3つの論理に基づく
しかし、この法案が変えていないものもはっきりしています。
地方が自分で稼げるようになったわけではありません。人口が減り、企業が都市部に集まり、高齢化が進む——この流れの中で、地方の自主財源が伸びる要素は構造的にありません。だから毎年、国が配る。その総額が増え続ける。
7兆円の借金削減は前進です。それでも61兆円が残ります。そして自動車関係税の補填は「当分の間」。基金4,000億円の使い道と評価方法は、まだ示されていません。
この法案に賛成することは、今年、自治体が予算を組めるようにすることを意味します。それは必要です。しかし、それだけでは構造は変わりません。
変えるべきは、配る額ではなく、必要な額そのものです。1,700を超える自治体がそれぞれ独自のシステムを持ち、独自の様式で同じ業務を回している——ここに手をつけない限り、20.2兆円は来年も、再来年も増え続けます。
参考・出典
- みらい議会「地方交付税法等の一部を改正する法律案」
https://gikai.team-mir.ai/bills/55656e3e-be7f-4148-be63-2365b921c89c - 衆議院「議案審議経過情報」
- 総務省「第221回国会における総務省関連法律」
- 総務省「令和8年度地方財政対策のポイント及び概要」
- 法案概要(PDF)「令和8年度地方財政対策のポイント」
※本記事はチームみらいの非公式応援サイトによる解説です。法案の正確な内容は必ず一次資料をご確認ください。数値はみらい議会の掲載情報に基づいています。グラフのバーの長さは相対的なイメージを示すもので、厳密な比率ではない箇所があります。なお、みらい議会側の当該ページの内容は今後更新される可能性があります。