壁が、9万円動く。
車の税金が、消える。

ひとり暮らしの人が住民税を払わずにすむ年収の上限は、いま110万円。この改正で119万円になります。9万円分、壁が動きます。
車を買うときにかかる税金は2026年4月からなくなります。軽油の上乗せ税も廃止。ふるさと納税は、高所得者の得できる額に上限が設けられ、寄付金を地域のために使う割合は最終的に60%以上へ。
——ただし。車の税金をなくすことで、地方に入る税金は年間約7,500億円減ると見込まれています。

119万円
住民税の非課税枠(現110万円)
0
車を買うときの税金
60%以上
ふるさと納税の地域活用率
7,500億円
地方の減収見込み(年)

2026年2月20日、「地方税法等の一部を改正する法律案」が成立しました。私たちの暮らしに、最も直接的に関わる法案のひとつです。

チームみらいはこの法案に「賛成」の立場を表明しました。

減税は歓迎されます。しかし「誰の税を減らし、その分を誰が負担するのか」を見ないと、この改正の全体像はつかめません。順に見ていきます。

この記事でわかること

住民税の非課税枠が110万円から119万円になる意味/車を買うときの税金の廃止と軽油の上乗せ税/ふるさと納税の3つの厳格化/地域活用率54%という現実/能登半島地震の被災者への減税/脱税調査のデジタル化/ネット銀行による税収の偏りの調整/地方の減収7,500億円という代償/意見が分かれる3つの論点/チームみらいが賛成した理由/よくある質問

まず結論:この法案は何を決めたのか

📋 法案データ
正式名称地方税法等の一部を改正する法律案
所管総務省
法案の種類内閣提出法案(閣法)
成立日2026年2月20日
分野税金・地方財政・家計
主な内容車を買うときの税金の廃止(2026年4月)/軽油の上乗せ税の廃止/住民税の非課税枠を110万円 → 119万円/ひとり親への減税/ふるさと納税の厳格化/住宅・被災地支援/脱税調査のデジタル化/ネット銀行に伴う税収配分の調整
ひとことで言うと私たちの暮らしに関わる地方税のルールを変える法案
チームみらいの賛否✓ 賛成

審議のステータス

法案提出
衆議院審議
参議院審議
法案成立

出典:みらい議会(gikai.team-mir.ai)/総務省「地方税法等の一部を改正する法律案の概要(PDF)」/衆議院 議案審議経過情報

そもそも「地方税」とは

🏛️ 国税

国に納める税金です。所得税や消費税などがあり、国全体のために使われます(防衛、外交、年金など)。

🏘️ 地方税

都道府県や市町村に納める税金です。住民税や固定資産税などがあり、みなさんが住む地域のために使われます(学校、ゴミ収集、道路の整備など)。

みらい議会の解説より。この法律案は「地方税」のルールを変えるものなので、みなさんが住む地域に関わる税金が対象です。

住民税の壁が、110万円から119万円へ

家計に最も直接効くのが、この変更です。

💴 住民税がかからない年収の上限(ひとり暮らしの場合)
〜110万円:これまでも非課税
+9万円
119万円超:課税
年収 0円 110万 → 119万 年収 高

みらい議会の記述:「ひとり暮らしの人は改正後に年収119万円まで住民税がかからなくなります。今は110万円です。」

なぜ「壁」を動かすことが重要なのか

この改正が必要な理由を、みらい議会はこう説明しています。「いろいろなものの値段が上がって生活が苦しくなっています。働く人の手元に残るお金を増やして生活を助ける必要があります。」

【物価が上がると、実質的に増税になる】
ここが重要な点です。非課税の枠が固定されたままだと、物価上昇に合わせて名目の収入が増えるだけで、課税対象になってしまいます。

たとえば、時給が上がって年収が110万円から115万円になったとします。物価も同じだけ上がっていれば、生活は少しも楽になっていません。それなのに、これまでは課税対象になっていました。

これは「物価上昇による、意図せざる増税」です。誰も増税を決めていないのに、実質的な負担が増える。

【だから枠を動かす必要がある】
非課税枠を物価に合わせて動かすことは、減税というより「実質的な増税を取り消す」作業です。9万円という引き上げ幅は、その調整にあたります。

そして、この「壁」は働き方も左右します。「これ以上働くと住民税がかかる」という理由で就業時間を調整する人がいる以上、壁の位置は労働供給に直接影響します。

この法律の6つのポイント

POINT 1

車に関する税金を安くします

車を買うときにかかる税金を2026年4月からなくします。軽油にかかっている上乗せの税金もなくして負担を減らします。税金が減る分は国が地方に届けます。

POINT 2

個人の税金を軽くします

税金がかからない収入の枠を広げて働く人の負担を減らします。ひとり暮らしの人は年収119万円まで住民税がかかりません(今は110万円)。ひとり親の人の税金も今よりさらに安くします。

POINT 3

ふるさと納税のルールを厳しくします

お給料が高い人がふるさと納税で得できる金額に上限を作ります。集めた寄付金を地域のために使う割合を段階的に引き上げ、最終的に60%以上にします。ルールを破った自治体への罰も厳しくします。

POINT 4

住まいや復興への支援を続けます

新しい家を建てたときの税金を安くする制度をのばします。能登半島地震で被害にあった人の税金を安くします。

POINT 5

脱税の調査にデジタル技術を活用します

脱税の調査で電子データを出すよう命じる仕組みを作ります。

POINT 6

ネット銀行の広がりに合わせて都道府県間の税収を調整します

ネット銀行の利用が増えたことで預金の利子にかかる税金が特定の都道府県に偏っています。個人の所得をもとに都道府県間で配分し直す仕組みを作ります。

車の税金がなくなる——そして7,500億円が消える

🚗 これまで
車を買うとき、税金がかかっていました。

→ 購入時の負担が重い
→ 買い替えのハードルが上がる
車が生活必需品である地域ほど負担が大きい

加えて、軽油には上乗せの税金がありました。運送業、農業、建設業などのコストに直結します。
✅ 2026年4月から
車を買うときにかかる税金がなくなります。

軽油の上乗せ税も廃止。

みらい議会の説明:「車の税金を安くして車を必要とする人の負担を減らします。車を買う人を増やして日本の経済を元気にするねらいがあります。」

そして「税金が減る分は国が地方に届けます。」
車の税金廃止による地方の減収見込み
約7,500億円/年
みらい議会の記述:「車を買うときの税金がなくなれば買いやすくなりますが、地方に入る税金が年間約7,500億円減ると見込まれています。」
ここが、この法案の最大の論点です。

車に関する税は、都道府県・市町村にとって重要な自主財源でした。それが年間約7,500億円減ります。

もちろん、対策は示されています。「税金が減る分は国が地方に届けます。」——国が補填するということです。

しかし、この補填には構造的な問題があります。

補填とは、「地方が自分で集めていた税」を「国から配られるお金」に置き換えるということです。金額が同じでも、性質はまったく違います。

自主財源——自治体が自分の判断で使える。国の意向に左右されない
国からの移転財源——国の財政状況や政策判断に依存する

「今年は補填します」という約束は、来年も続く保証ではありません。そして、補填の仕組みが複雑になるほど、地方の財政は国の裁量に依存していきます。

減税は歓迎できます。しかし、それが地方自治の実質を痩せさせる形で行われていないか——これは検証され続けるべき点です。

ふるさと納税に、3つの縛りがかかる

この改正は、ふるさと納税を利用している人に直接影響します。

🎁 寄付金のうち、地域のために使われている割合
現在
約54%
最終目標
60%以上

みらい議会の記述:「ふるさと納税の寄付金のうち地域で使われている割合は約54%です。地域で使われる割合を段階的に大きくして、地域を応援する仕組みを正しく働かせます。」

【54%という数字が意味すること】
寄付された100円のうち、地域のために使われているのは約54円。残りの約46円はどこへ行くのか。

返礼品の調達費
送料
仲介サイトへの手数料
広告費・事務費

ふるさと納税は「地域を応援する仕組み」として始まりました。しかし、返礼品の競争が激化するにつれ、寄付金の多くが返礼品と流通の経費に消えるようになりました。

【誰が得をしているのか】
この構造で最も安定して利益を得ているのは、仲介サイトの運営事業者です。寄付額に応じた手数料が入るため、市場が拡大するほど収益が伸びます。

「地域を応援するはずのお金が、地域に届く前に半分近く削られている」——この状態を是正するのが、活用率60%以上という目標です。

3つの厳格化

⚠️ ① 高所得者の上限
「お給料が高い人がふるさと納税で得できる金額に上限を作ります。」

ふるさと納税は、寄付額に応じて住民税・所得税が控除される仕組みです。所得が高いほど控除の枠が大きくなります。

結果として、高所得者ほど多くの返礼品を実質負担なしで得られる構造でした。

これは、税の再分配機能とは逆方向に働きます。
✅ ②③ 活用率と罰則
② 地域活用率を段階的に60%以上へ
寄付金が返礼品と手数料に消えず、実際に地域の事業に使われるようにします。

③ ルールを破った自治体への罰を厳しく
返礼品の基準を逸脱する自治体への制裁を強化します。

これまでも基準はありましたが、逸脱が繰り返されてきました。実効性を持たせる改正です。

見落とされがちな、3つの重要な変更

① 能登半島地震の被災者への減税

被災地支援としての税制

「能登半島地震で被害にあった人の税金を安くします。」

災害の被災者にとって、税制上の措置はすぐに効く支援です。補助金の申請と違い、手続きが比較的簡素で、対象者に自動的に近い形で及びます。

住宅を失った人、事業所が被害を受けた人にとって、固定資産税などの負担が続くことは重い問題です。この措置は、その負担を軽減します。

あわせて、「新しい家を建てたときの税金を安くする制度」も延長されます。住宅取得の負担軽減は、被災地の再建とも重なる政策です。

② 脱税調査のデジタル化

「脱税の調査で電子データを出すよう命じる仕組みを作ります。」

関税定率法の改正でも同様の仕組みが導入されましたが、地方税でも同じ方向です。

背景は明快です。取引の記録は、もはや紙の帳簿ではありません。会計ソフト、クラウド、電子決済——脱税の証拠も、すべてデジタルの中にあります。そこに手が届かなければ、調査は成立しません。

影響を受けるのは「銀行やネット銀行など電子データを保管する事業者」です。電子データを提出する対応が必要になります。

正しく納税している人にとって、脱税の取り締まりが強化されることは利益です。脱税が見逃されるほど、正直に払っている人の相対的な負担が重くなるからです。

ただし、権限の範囲と手続きの適正は、地方税においても同じように確認されるべきです。

③ ネット銀行がもたらした、税収の偏り

【何が起きていたのか】
みらい議会の説明です。「ネット銀行の利用が増えたことで預金の利子にかかる税金が特定の都道府県に偏っています。個人の所得をもとに都道府県間で配分し直す仕組みを作ります。」

預金の利子には税金がかかり、その一部は地方税として都道府県に入ります。従来、この税収は銀行の支店がある都道府県に配分される仕組みでした。全国に支店網がある銀行なら、税収も全国に分散します。

【ネット銀行が構造を変えた】
ネット銀行には、支店がほとんどありません。本店だけ、あるいは数か所です。

その結果、全国の人が預けたお金の利子にかかる税金が、本店のある都道府県に集中するという現象が起きました。

利用者は全国にいるのに、税収は一か所へ。これは制度が想定していなかった事態です。

【今回の是正】
「個人の所得をもとに都道府県間で配分し直す仕組み」を作ることで、実態に合った配分に近づけます。

これは、デジタル化によって既存の制度が壊れる典型例です。そして、こうした「静かな制度疲労」は、他の分野にも数多く存在します。

意見が分かれる3つの論点

論点 内容
① 車の税金をなくすと地域のお金は足りるのか 車を買うときの税金がなくなれば買いやすくなりますが、地方に入る税金が年間約7,500億円減ると見込まれています。
② ふるさと納税のルールを厳しくすると地方は寄付を集められるのか 寄付金がきちんと地域のために使われるようになる一方で、厳しいルールで地方が寄付を集めづらくなる可能性があります。
③ 税金を安くしすぎると国や地方の借金は増えないか 税金が安くなることで生活が少し楽になりお金を使いやすくなりますが、税金を減らしすぎると国や地方の借金が増えてしまう心配があります。

出典:みらい議会「意見が分かれるところ」の記述を原文どおり整理。

論点②:厳しくすると、寄付が集まらなくなる?

この論点には、深い矛盾があります。

ふるさと納税の建前は「地域を応援する仕組み」です。しかし現実には、返礼品の魅力で寄付を集める競争になっています。

だから、返礼品への支出を制限すれば、寄付は減ります。これは論理的に避けられません。

【では、どう考えるべきか】
問うべきは、「返礼品目当ての寄付は、本当に地域を応援しているのか」です。

寄付額100円のうち54円しか地域に届かないなら、寄付額を半分にして、活用率を100%に近づけたほうが、地域に届く額は変わらないという計算も成り立ちます。

そして、返礼品競争には別の副作用があります。
・魅力的な特産品を持つ自治体が有利になり、持たない自治体は不利
・返礼品の調達力がある大きな自治体ほど有利
本来支援が必要な地域ほど、集められないという逆転

「集められる額」ではなく「地域に届く額」で評価すべき——これが、活用率60%以上という目標の考え方です。

論点③:減税と借金のジレンマ

「手取りを増やす」ことと「財政」の関係

この論点は、率直で正しい指摘です。「税金を減らしすぎると国や地方の借金が増えてしまう心配があります。」

減税は気持ちのよい政策です。しかし、支出を減らさずに税収だけ減らせば、その差は借金になります。そして、その借金を返すのは将来の納税者です。

【それでも減税に意味がある場合】
物価上昇による実質増税の調整——非課税枠の110万円→119万円は、これに当たります。誰も決めていない増税を取り消す作業であり、純粋な減税とは性質が異なります。

働き方の歪みを直す——「壁」の存在が就業調整を生んでいるなら、その解消は労働供給を増やし、税収にプラスに働く可能性があります。

経済効果——車の税金廃止には「車を買う人を増やして日本の経済を元気にするねらい」があります。ただし、この効果がどれだけ税収に返ってくるかは、事前には検証できません。

【問われるのは支出側】
結局のところ、減税の是非は「支出を見直せるか」にかかっています。効果の検証されていない補助金、重複する事業、非効率な行政プロセス——ここに手をつけずに減税だけを続ければ、借金が積み上がるのは当然の結果です。

チームみらいはなぜ「賛成」を選んだのか

みらい議会における立場
✓ 賛成

チームみらいは、この地方税法等改正案に賛成の立場を表明しました。物価上昇下で非課税枠を引き上げることは、実質的な増税を取り消す当然の措置です。ふるさと納税の厳格化は、制度を本来の趣旨に戻す方向として評価できます。同時に、車の税金廃止による地方の減収7,500億円が、地方の自主財源を国からの移転財源に置き換える結果になっていないか——ここは賛成後も検証が必要です。

① 「壁」の解消は一貫した主張

非課税枠の110万円→119万円は、物価上昇による実質増税の調整です。同党が掲げてきた「年収の壁」の解消と同じ方向です。

② ふるさと納税を本来の趣旨に戻す

寄付の約46%が地域に届いていない現状は、制度の目的から外れています。活用率60%以上への引き上げは正しい方向です。

③ デジタル化に制度を追いつかせる

ネット銀行による税収の偏り脱税調査の電子データ対応——どちらも、技術の変化に制度を合わせる作業です。

賛成したうえで残る、3つの宿題

① 7,500億円の補填が、恒久的に続くのか
「税金が減る分は国が地方に届けます」——この約束の期限は明示されていません。地方の自主財源が、国からの移転財源に置き換わっていく構造は、地方自治の実質を弱めます。補填の仕組みと期間を、継続的に確認する必要があります。

② ふるさと納税の活用率が、実際に60%を超えるか
「段階的に引き上げ、最終的に60%以上」——段階も最終期限も、この説明だけでは分かりません。実際の活用率が公開され、達成状況が検証される仕組みが必要です。

③ 支出側の見直しが伴うか
減税だけを進めれば、借金が増えます。効果の検証されていない事業の洗い出しと、行政プロセスの効率化——ここに手をつけなければ、この改正は将来世代へのツケ回しになります。

この改正で、誰の何が変わるのか

🚗
車を買う人

車を買うときの税金がなくなるため負担が減ります。2026年4月からです。あわせて軽油の上乗せ税も廃止され、運送・農業・建設などのコストも軽減されます。

💼
働く人(とくに年収110〜119万円の層)

住民税がかからない年収の上限が110万円から119万円へ。ひとり親への減税も拡充されます。物価上昇による実質的な負担増が調整されます。

🎁
ふるさと納税を利用する人

お給料が高い人は恩恵が減るかもしれません。高所得者が得できる金額に上限が設けられます。返礼品の水準も、地域活用率60%以上という基準の影響を受けます。

🏛️
都道府県や市町村

税金のルールが変わり使えるお金が変わります。車関係の税収は年間約7,500億円減る見込みで、国からの補填に置き換わります。ネット銀行に伴う税収の偏りも調整されます。

🏦
銀行やネット銀行など電子データを保管する事業者

電子データを提出する対応が必要になります。脱税調査における電子データの提出命令に応じる体制整備が求められます。

よくある質問

住民税がかからない年収は、いくらになるのですか?
ひとり暮らしの人は、改正後に年収119万円まで住民税がかかりません。今は110万円です。9万円分、非課税の枠が広がります。

これは単なる減税ではなく、物価上昇による「意図せざる増税」の調整という側面があります。物価が上がって名目の収入が増えただけでも課税対象になってしまう——誰も増税を決めていないのに実質的な負担が増える構造を、正すための措置です。
車の税金は、いつからなくなるのですか?
2026年4月から、車を買うときにかかる税金がなくなります。あわせて軽油にかかっている上乗せの税金も廃止されます。

みらい議会の説明では「車の税金を安くして車を必要とする人の負担を減らします。車を買う人を増やして日本の経済を元気にするねらいがあります。」とされています。

軽油の上乗せ税の廃止は、運送業、農業、建設業などのコストにも直接効きます。
車の税金がなくなると、地方の財政は大丈夫なのですか?
これがこの法案の最大の論点です。「地方に入る税金が年間約7,500億円減ると見込まれています。」

対策として「税金が減る分は国が地方に届けます」とされていますが、構造的な問題は残ります。

補填とは、「地方が自分で集めていた税」を「国から配られるお金」に置き換えることです。金額が同じでも性質は違います。自主財源は自治体の判断で使えますが、国からの移転財源は国の財政状況や政策判断に依存します。

「今年は補填します」は、来年も続く保証ではありません。減税が地方自治の実質を痩せさせていないか、検証が必要です。
ふるさと納税は、どう変わるのですか?
3つの厳格化があります。

① 高所得者の上限——お給料が高い人がふるさと納税で得できる金額に上限が設けられます。
② 地域活用率の引き上げ——集めた寄付金を地域のために使う割合を段階的に引き上げ、最終的に60%以上にします。
③ 罰則の強化——ルールを破った自治体への罰が厳しくなります。

背景には、「ふるさと納税の寄付金のうち地域で使われている割合は約54%」という現実があります。
寄付の46%は、どこへ行っているのですか?
返礼品の調達費、送料、仲介サイトへの手数料、広告費・事務費などです。

ふるさと納税は「地域を応援する仕組み」として始まりましたが、返礼品競争が激化するにつれ、寄付金の多くが返礼品と流通の経費に消えるようになりました。

この構造で最も安定して利益を得ているのは、仲介サイトの運営事業者です。寄付額に応じた手数料が入るため、市場が拡大するほど収益が伸びます。

「地域を応援するはずのお金が、地域に届く前に半分近く削られている」——これを是正するのが今回の改正です。
ルールを厳しくすると、地方は寄付を集められなくなりませんか?
みらい議会も論点として挙げています。「厳しいルールで地方が寄付を集めづらくなる可能性があります。」返礼品への支出を制限すれば寄付が減るのは、論理的に避けられません。

ただし、問うべきは「返礼品目当ての寄付は、本当に地域を応援しているのか」です。100円のうち54円しか届かないなら、寄付額が半分でも活用率が100%に近ければ、地域に届く額は変わりません。

さらに返礼品競争には副作用もあります。魅力的な特産品を持つ自治体が有利になり、本来支援が必要な地域ほど集められないという逆転です。「集められる額」ではなく「地域に届く額」で評価すべきだといえます。
ネット銀行と税収の偏りとは、どういう話ですか?
預金の利子には税金がかかり、その一部は地方税として都道府県に入ります。従来この税収は銀行の支店がある都道府県に配分される仕組みでした。

ところがネット銀行には支店がほとんどありません。本店だけ、あるいは数か所です。その結果、全国の人が預けたお金の利子にかかる税金が、本店のある都道府県に集中するという現象が起きました。

今回の改正では「個人の所得をもとに都道府県間で配分し直す仕組み」を作り、実態に合った配分に近づけます。

デジタル化によって既存の制度が壊れる典型例であり、同様の制度疲労は他分野にも存在します。
減税を進めると、国や地方の借金は増えないのですか?
みらい議会も論点として挙げています。「税金を減らしすぎると国や地方の借金が増えてしまう心配があります。」支出を減らさずに税収だけ減らせば、その差は借金になります。

ただし、今回の改正には性質の違うものが含まれます。非課税枠の110万円→119万円は、物価上昇による実質増税の調整であり、純粋な減税とは異なります。また「壁」の解消は就業調整を減らし、税収にプラスに働く可能性もあります。

結局のところ、減税の是非は「支出を見直せるか」にかかっています。効果の検証されていない補助金、重複事業、非効率な行政プロセスに手をつけずに減税を続ければ、借金が積み上がるのは当然の結果です。
「地方税」と「国税」は何が違うのですか?
日本の税金は大きく2種類に分かれます。

国税:国に納める税金です。所得税や消費税などがあり、国全体のために使われます(防衛、外交、年金など)。

地方税:都道府県や市町村に納める税金です。住民税や固定資産税などがあり、あなたが住む地域のために使われます(学校、ゴミ収集、道路の整備など)。

この法律案は「地方税」のルールを変えるものなので、住んでいる地域に関わる税金が対象です。

まとめ:減税の裏側にあるものを見る

この改正には、明確に歓迎できる部分があります。

住民税の非課税枠が110万円から119万円へ。物価が上がって名目の収入が増えただけで課税対象になる——誰も決めていない増税が起きていた状態が、調整されます。ひとり親への減税も拡充されます。能登半島地震の被災者の負担も軽くなります。

ふるさと納税の厳格化も、制度を本来の姿に戻す方向です。寄付の約46%が地域に届いていない現状は、「地域を応援する仕組み」の名に値しません。

この記事のまとめ

✅ 住民税がかからない年収の上限が110万円 → 119万円(ひとり暮らしの場合)
ひとり親への減税も今よりさらに拡充
車を買うときの税金を2026年4月に廃止軽油の上乗せ税も廃止
✅ 減る分は国が地方に届けるとされるが、地方の税収は年間約7,500億円減の見込み
✅ ふるさと納税は①高所得者の上限設定 ②地域活用率を最終的に60%以上へ ③罰則強化
✅ 現在の地域活用率は約54%——寄付の約46%は返礼品・送料・手数料などに
住宅取得の減税延長能登半島地震の被災者への減税
脱税調査で電子データの提出を命じる仕組みを新設
ネット銀行による税収の偏りを、個人の所得をもとに都道府県間で再配分
✅ 論点は「地方の財源」「ふるさと納税は集まるか」「減税と借金」
✅ チームみらいは賛成。「壁の解消」「ふるさと納税を本来の趣旨に」「デジタル化に制度を追いつかせる」という3つの論理に基づく

しかし、この改正の重心は「約7,500億円」という数字にあります。

車の税金がなくなれば、買う人の負担は減ります。それは事実です。しかし、その分だけ地方の自主財源が失われ、国からの補填に置き換わります。

金額が同じでも、性質は違います。自分で集めた税は自分の判断で使えますが、国から配られるお金は、国の財政状況と政策判断に依存します。「今年は補填します」という約束は、来年も続く保証ではありません。

そして、みらい議会が挙げた3つ目の論点——「税金を減らしすぎると国や地方の借金が増えてしまう心配があります」——は、この改正だけでなく、日本の税財政全体に向けられた問いです。

減税は、支出の見直しとセットでなければ、将来世代へのツケ回しになります。手取りが増えることを歓迎しながら、その裏側で何が減っているのかを見続けること。それが、この法案に賛成した側に求められる姿勢です。

参考・出典

※本記事はチームみらいの非公式応援サイトによる解説です。法案の正確な内容は必ず一次資料をご確認ください。数値はみらい議会の掲載情報に基づいています。なお、みらい議会の当該ページには「この記事は現在、複数有識者によるレビュー中です。今後内容が変更されることがあります。」との注記があり、記載内容が更新される可能性があります。住民税の非課税限度額は世帯構成や自治体により異なるため、ご自身の該当額は各自治体にご確認ください。